ナナ公の独り言

都内在住既婚会社員女の日記です

月明かりの中庭

「月明かりの中庭」っていう立原えりかって人の書いた童話があるのね。
ちょっとその童話の説明します。
  
  あるところにウエイトレスの少女がいて、
  ある晩お腹すかせて死にかけた、妊娠中の野良猫を、店じまいしたレストランの中庭で見つけます。
  少女は、店から卵を三個くすねてきて、それでなにか栄養のつくものをつくってあげようと考えます。
  それを物陰から見ていたコック見習いの少年が、とくべつおいしいオムレツにして猫にあげます。
  二人は、並んで中庭のベンチに座り、猫がオムレツをたいらげるのを見守ります。
  
  それから50年の月日が過ぎ、結婚した二人は小さいながらも評判のいいレストランを経営しています。
  少女は、優しいマダムとして。少年は腕の確かな老コックとして。
  あのとき助けられた野良猫の三代目の雌猫が一匹います。
  ある日、マダムは静かに亡くなります。
  翌日、老コックの姿も消えました。
  猫も。
  残された家族(子供や孫)は、手紙を見つけます。

  「わしは、ジジ(猫の名前です)の魔法の力を借りて、
   おばあさんと二人で、あの中庭に帰る。
   若さと夢と、これからはじまる愛への希望に満ち溢れた、
   全てが在った完璧な夜に帰る。
   おばあさんと出会った、あの月明かりの中庭に」

  そして、小さな箱がひとつ手紙のそばにありました。
  家族の者があけてみると、その中には、
  月明かりで照らされた小さな中庭に、
  小さなベンチによりそって座って野良猫の食事を見ている少年と少女がいました。

  孫の一人が言いました。
  「見て!この可愛いカップル、とっても幸せそう・・・」
  

さて、昨日、普通の日記の書庫に書いた4次元球の話が好評(?)だったので、
書庫を哲学の場に移して、続編を書こうと思います。

コメントで、ブログ友達のやっくんが書いてたよ。
タイムマシンもテレポーテーションもできそうな気がする、って。

その2つは、同じことのように、ナナ公は思います。

どこでもドアで考えてみましょう。

ドラえもんの秘密道具で一番人気のこの、どこでもドア、実は一番いらないものではないですか?
みんな、よく遅刻しそうなときに「どこでもドアさえあれば!」って言うよね。
だけど、考えてみて。
もっとほしいものない?タケコプターとか。

だって、遅刻しそうならちゃんと早く起きればいいんだもんね。
不可能を可能にしてる道具ってわけじゃないんだよ、どこでもドア。

つまり、どこでもドアって実はタイムマシーンなんだよ。
通勤時間の短縮。
A地点からB地点に移動する時間をカットしてるんですね。

思い出してきた?
昨日のこむずかしい、ナナ公の4次元論。4本目の線は時間軸ってやつ。
4次元は時間を自由に使える世界って説。

じゃあ宇宙戦艦ヤマトのワープで考えてみよっか。
よくこんなふうに説明されてるね。

紙に書いたa点からb点に行く最短距離は?
a点からb点にひいた直線?ううん違うんだよね。はい、そこのぬーさん!
・・・正解です。

そう、紙を折り曲げてa点とb点をくっつけちゃえばいいんだね。

これがワープの原理だそうですね。

A地点(空間)とB地点(空間)をくっつけちゃうのがワープ。

これは、省略してるともいえる。その2空間のあいだの距離を移動する時間を。
自分の体内時間も変化させずにね。

立体、という魔法を使えない2次元人には、紙を折り曲げるという感覚がわからないように、
3次元人の我々には、空間を捻じ曲げる感覚はやっぱりわからない。

でも、この仮説から想像できるのは、時間の流れ、というか、
順を追って起きる、様々な事象は不変である、ということになるよね。

つまり、タイムパラドックスは起きない。

4次元人は3次元人から見たら、運命論者です。

我々が、描かれた絵の全てを見渡せるように、
4次元人には、時間の全てが見渡せるんだろう。

でも、2次元人が今いる場所が、絵のどの位置なのかはわからないように、
私達にも未来は分からない。

面がいくらでも細い線にわけられるように、
線がいくらでも小さい点に分けられるように、

時間もいくらでも瞬間に分けられる。飛んでいる矢は永遠に落ちないっていうあれですね。

でも3次元人の私達には、この瞬間しかない。
どれだけ瞬間をナノ秒単位まで分けたって、永遠をつくることはできない。
私達には、矢をいつまでも飛ばせ続けることはできないよ。

今、あなたがこの記事を読んだことは、もう戻せない。
これから後は、この記事を読んだあとのあなたです。

そして、この一瞬に戻ってくることももうできない。
マウスの上の人差し指。
画面を見つめる瞳。
すぐそばにいなくても、あなたの愛するヒト愛してくれてるヒトが存在してる、
この瞬間に戻ってくることは二度とできない。

今吸ったのと同じ空気はもう二度と吸えないよ。

女子大生のけろちゃん、あなたのコメントを読んで思ったよ。
3次元人の私達には、記憶は操作できるけど、過去は変えられない。
未来も決まってるかもしれないけど、まだ分からないところにある。
ナノ単位までわけても、決して無限にはならないこの時間軸の上の私達。

この宇宙の全てを知りたいけど、分不相応は不幸のもと。
ファウストになっちゃうね。

瞬間が瞬く間に流れていくことは、3次元人である以上逆らえない。
次元の壁は絶対壁です。

ただ、いつか、この自分の持っている時間軸の終わりに、
どこかの一瞬を永遠にできることができるなら、
戻りたいと願える場所を、たくさんつくることが、3次元人の人生なんだと思う。

あなたの、月明かりの中庭はどこですか?