ナナ公の独り言

都内在住既婚会社員女の日記です

三丁目の夕日 ―映画レビュー―

一週間ほど前「三丁目の夕日」を観に行きました。
「チケット買ってきちゃった!」とメガネが言ったのでしかたなかったのです。

予告編で気になった映画は三つです。
「オリヴァー・ツイスト」
有頂天ホテル
「」

・・・うっ。もういっこ忘れちゃってるよ。あ、で始まることは覚えてるのに・・・
まあいいや。思い出したら言う。

で、この「三丁目の夕日」ですけどね、
今年観た映画の中で一番面白かった。いや、翌日にDVDで観たハウルなんて比較になりません。

原作とはかなり設定は変わっていました。
鈴木オートで住み込みで働く15歳の青森からの集団就職で出てきた、中卒の男の子六ちゃんが、
六子ちゃんという女の子になっていたり、
駄菓子屋のおじいさん茶川さんが、まだ30前後の青年になっていたり。
うん、かなりでかいこの違い。
茶川さんが青年(吉岡秀隆)なので、気まぐれなダンサーヒロミ(小雪)との関係は、
育ての親と養女ではなく、
ヒロミが流れのダンサーを辞めて町内で居酒屋をはじめたときの
女将と常連さんの関係です。
少し恋愛テイストすら漂います。

そして鈴木オートと茶川駄菓子店はおむかいにあります。
漫画では鈴木オートの温厚なお父さんは、映画の中では短気な江戸っ子(堤真一)で、
おむかいの茶川青年はいつもとばっちりを受けます。
いや、この茶川青年もすごいひねてるんですけどね。今なら暗いオタク青年てかんじかしら。

それが、ヒロミに無理矢理知りあいの子供を押し付けられたことから、
彼の生活や考え方がどんどん変わっていくのです。

このへんはちょっと「クリスマスキャロル」とか「サイラスマーナー」とかに似てるかな。

茶川青年が鈴木オートに「家族を持つってどんなかんじなんだ」と聞くシーンでは涙があふれてとまりませんでした。

映画は、六子ちゃんが上京してくる春から年末までの、
春夏秋冬4部構成になっていて、
六ちゃんの成長や、茶川さんの家に引き取られた少年と鈴木オートのうちのひとりむすこの交流が、
東京タワーがだんだん完成していくのにあわせて進みます。

そう、この映画は東京タワーの建築された昭和33年が舞台になっているのです。

終戦からまだ13年目。今でいうなら平成5年に戦争が終わったようなものです。
空襲で娘と妻を亡くした開業医(三浦友和)が、たぬきにばかされて
今は亡き家族の夢を見るシーンも切ないです。

そして、映画のあちこちにしかけられたたくさんの笑いとスピード。
さすが「リターナー」「ジュブナイル」の監督さんだ。
古き良き日本の話なのに、なんだかどこか新しい。

あっ。
ナナ公ね、今古き良きって言葉使ったでしょ。
これ、よくクリスティとかイギリス文学で使われる言い回しなの。
イギリスの古き良き時代はビクトリア女王の治めた20世紀初頭ロンドンだそうですよ。

でね、この三丁目の夕日はまさにそんなかんじ。
現代日本人が思う古き良きは戦後がおわりつつある昭和30年代なのだろうと思う。

そのころはみんな言っていたんだって。
「10年経ったら良くなる!」って。

鈴木オートの社長はそういって自動車業界に夢を持っている。
その妻(薬師丸ひろこ)もそれを信じている。

うん、ナナ公も信じているよ。いい言葉だもの。
10年経ったら、良くなる!

21世紀の私達はちょっと進化することに飽きてきてる。
未来世界もなんだか手垢のついた時代遅れの想像だね。

なんか、もったいなかったな。
ちょっとだけ急ぎすぎたよ。進化ってすばらしいけど、当たり前になっちゃった。

テレビや冷蔵庫にびっくりしたりわくわくしたあのキモチがうらやましい。
うーんそうだな、ナナ公でいうとね、クーラーかな。
クーラーのある家ってナナ公が小学生の頃はお金持ちだったよなあ。
夏休み中、近所にできたばっかりのスーパーにいりびたってたなあ。

今は、なんだろう、なにができてきても「ああできるかもね」って思う。
宇宙も医学もコンピュータも。
現代科学って言葉は魔法だね。

おっと、話がずれました。
ええとね、ナナ公、DVD発売されたら2本買うよ。
1本は、まさに六子ちゃんと同世代のナナ公ママにあげようと思う。

茨城出身の田舎娘だったナナ公ママに。