目と耳
その青年はさびしがりやの嘘つきでした。
二人の少女と出会ったとき、青年は二人の心を手に入れたいと思いました。
少女の一人には耳がなく、
もう一人の少女には目がありませんでした。
耳のない少女には、青年の声が聞こえません。
彼の、さびしそうな瞳と、優しい笑顔に、恋に落ちました。
目のない少女には、彼の姿が見えません。
けれども、彼の唇から流れる甘い囁きに、恋に落ちました。
青年は、耳のない少女の手を握りながら、
目のない少女に、甘く囁き続けました。
ふっ、と目のない少女が何気なく伸ばした手が、耳のない少女の手に触りました。
耳のない少女の手は、誰かの手に包まれていました。
目のない少女の指が、そっとさぐっていきます。
青年は、あわてて身を引こうとしましたが、
耳のない少女の手に、きつく握りかえされていて、ふりほどくことができません。
目のない少女の指先が、青年の唇にたどりつきました。
青年の囁きが、とまりました。
目のない少女はそっと、青年の唇から、指をはずしました。
耳をすませて、瞳をひらいては、
恋はできない。
二人の少女と出会ったとき、青年は二人の心を手に入れたいと思いました。
少女の一人には耳がなく、
もう一人の少女には目がありませんでした。
耳のない少女には、青年の声が聞こえません。
彼の、さびしそうな瞳と、優しい笑顔に、恋に落ちました。
目のない少女には、彼の姿が見えません。
けれども、彼の唇から流れる甘い囁きに、恋に落ちました。
青年は、耳のない少女の手を握りながら、
目のない少女に、甘く囁き続けました。
ふっ、と目のない少女が何気なく伸ばした手が、耳のない少女の手に触りました。
耳のない少女の手は、誰かの手に包まれていました。
目のない少女の指が、そっとさぐっていきます。
青年は、あわてて身を引こうとしましたが、
耳のない少女の手に、きつく握りかえされていて、ふりほどくことができません。
目のない少女の指先が、青年の唇にたどりつきました。
青年の囁きが、とまりました。
目のない少女はそっと、青年の唇から、指をはずしました。
耳をすませて、瞳をひらいては、
恋はできない。