カッサンドラ~カツサンドじゃないよ
ニコラスケイジのNEXTっていう映画、観たことありますか?
今からネタバレしますから、ご注意ください。
今からネタバレしますから、ご注意ください。
ニコラスは二分後の世界がみえる予知能力を持っています。
普段はこの能力を生かして、カジノでちまちま稼いで暮らしています。
しかしこの能力に気づかれてしまい、悪の組織(核爆弾テロ組織)と正義の味方(FBI)から狙われています。
どちらも自分の組織の仲間にしたいわけですね。
普段はこの能力を生かして、カジノでちまちま稼いで暮らしています。
しかしこの能力に気づかれてしまい、悪の組織(核爆弾テロ組織)と正義の味方(FBI)から狙われています。
どちらも自分の組織の仲間にしたいわけですね。
どちらの組織にも属したくないニコラスは、逃げ回ります。
もともと根無し草ですし、何より予知能力があるので、結構簡単に逃げ切れる日々です。
もともと根無し草ですし、何より予知能力があるので、結構簡単に逃げ切れる日々です。
ここで大事なポイント。
ニコラスは「二分後の未来がわかったって、ギャンブルくらいにしか使えない」と思っていますが、
実は、彼の能力には「テスト」ができます。「シミュレーション」ができるのです。
実は、彼の能力には「テスト」ができます。「シミュレーション」ができるのです。
これ、実はすごいです。
二分後の未来がわかると、ニコラスは少し予定変更します。いえ、しようと思います。
そうすると、その「そうなるなら、俺ちょっと対応変えることにしよう」という
彼の意思により、二分後がまた変わるのです。
そうすると、その「そうなるなら、俺ちょっと対応変えることにしよう」という
彼の意思により、二分後がまた変わるのです。
これがどういうことか、よく表しているのが、彼の恋愛エピソードです。
どうやって意中の彼女に声をかけようか悩むニコラス。
予知能力発揮します。
「ヘイ、姉ちゃん、今晩ヒマ?」
平手打ち。
予知能力発揮します。
「ヘイ、姉ちゃん、今晩ヒマ?」
平手打ち。
作戦変更。
軽くぶつかって「おっと失礼。服にコーヒーかけちゃいましたね。弁償しますよ」
「いえ、お気になさらず」足早に去る彼女。
軽くぶつかって「おっと失礼。服にコーヒーかけちゃいましたね。弁償しますよ」
「いえ、お気になさらず」足早に去る彼女。
またまた作戦変更。
「あ、これ、落としましたよ」
「私のじゃないです」
「あ、これ、落としましたよ」
「私のじゃないです」
めくるめく予知能力リプレイの後、うまくいく二分後を一瞬のうちに見つけ、決行。彼女を射止めます。
しかし恋人ができたことが仇となり、ニコラスは、FBIからもテロ組織からも逃げにくくなってしまいます。
彼女と結ばれた翌朝、目覚めると同時に、二人のいるモーテルがFBIに発見されることを予知したニコラスは、
彼女の手を引いて脱出しますが(もちろん予知能力フル活動です。このドアはダメ、あの道はダメ・・・)
正義からは逃げ切れても、悪はしつこく、ついには彼女は、テロ組織に捕まり殺されてしまいます。
彼女と結ばれた翌朝、目覚めると同時に、二人のいるモーテルがFBIに発見されることを予知したニコラスは、
彼女の手を引いて脱出しますが(もちろん予知能力フル活動です。このドアはダメ、あの道はダメ・・・)
正義からは逃げ切れても、悪はしつこく、ついには彼女は、テロ組織に捕まり殺されてしまいます。
と、ここでニコラスは決意します。
FBIに協力しよう。
そう、この映画の大半を占めるアクションシーンはすべて、ニコラスの予知能力の映像だったのです。
彼女と結ばれた翌朝に、FBIに包囲されることを知り、FBIから逃げた場合の不幸な未来を『一瞬で』知ったニコラスは、自ら投降します。
彼女もアメリカも守る唯一の方法は、FBIの人間になり、本気でテロ組織と戦うことしかない、と決断するシーンで、この映画は終わります。
彼女もアメリカも守る唯一の方法は、FBIの人間になり、本気でテロ組織と戦うことしかない、と決断するシーンで、この映画は終わります。
さて、前置きが長くなりましたが、本題「カッサンドラ」です。
カッサンドラは、トロイの神官の娘です。
とても美しく、太陽神アポロンに求愛されました。
カッサンドラはもともと恋愛体質ではなく、どちらかといえば男だの恋だのに興味のないタイプですが、
まあ相手は神様ですし、しぶしぶ応えることにしました。その代償だか、愛の証明だか、知りませんが、
アポロンに「私に特別な能力をください。予言の力がいいです」とお願いしました。
アポロン自身には予知能力がなかったんでしょうね。でもギリシャ神話では、ヒトは神がつくったものです。
ヒトにオプションつけることはできます。
アポロンは「オッケーオッケーまかせとき」と、あっさり彼女に予知能力プレゼント。バカバカ。
こんな、宝石や花束じゃなくて能力をほしがるような女子に、能力与えたらどうなるか、
予知能力がなくてもわかってくれよ。だからアンタかっこいいのにいつも振られるんだよ。
てかなんでいつも、こういう生娘タイプばっか惚れるんだよ。
カッサンドラは見てしまいました。
アポロンに身をゆだね、恋に落ちた後、ぼろくずのように捨てられる自分の未来を。
もともとアポロンを愛していたならともかく、このときのカッサンドラは恋を知りません。神官の娘ですし、処女です。子供です。
たとえ先がない恋でも、不幸になるとわかっていても、今はこの恋にすべてをかけたいの。
なあんて、不倫中のOLみたいなことは思いません。
アポロンの求愛をはねつけてしまいました。
以前のこの書庫の記事でも書いておりますが、ギリシャ神話の神々は気まぐれで残酷です。
裏切りはもっとも許しません。飼い犬にかまれるなんて屈辱です。この下等生物が!
一度つけてしまったオプションをはずすことはできませんが、怒りのアポロンはもう一個オプションをつけてしまうのです。
カッサンドラの予言は、誰も信じないようになれ!
やがてトロイとスパルタに大戦争が起きます。
ちなみにこの戦争の発端はパリスという若者ですが、このパリス、カッサンドラの兄です。
パリスは真面目でお堅い妹とは真逆の性格で、三人の女神から「権力」「知恵」「女」を提示された際に、
「女!」と元気に選び、この決断が戦争につながるのです。
パリスに与えられた絶世の美女。それはスパルタ王妃ヘレネでした。つまりパリスったら神の力を借りて、人妻略奪。
王妃奪還のため、スパルタ軍はトロイに攻め込みます。
10年に及ぶ長い戦争の末に、スパルタの知将オデュッセウスがひとつの知恵を出します。
それが有名なトロイの木馬。
大きな木馬をつくり、その中に兵士を数人だったか数百人だったか隠し、浜辺に放置。
翌朝、トロイの見張りの兵士は「あれ?昨日までたくさんいたスパルタの兵隊さんいなくなったよ。かわりに変な木馬が置いてあらあ」と、上官に報告。
上官は「きっと諦めたんだよ。この王都は鉄壁の城砦に守られているし、きっとスパルタに帰っちゃったんだよ」と、
ものすごく自分たちに都合のいい解釈をします。
「でもあの木馬、ナンダロネ?」「きっと、あれがスパルタ流のゴメンナサイ、マイリマシタなんじゃナーイ?」
「じゃああの木馬を都の広場に入れようよ。今夜はあの木馬を囲んでお祭りだワーイ!」
その夜、騒ぎ疲れてぐっすり眠りこけたトロイの街に、そーっと木馬からスパルタの兵士たちが降り立ちます。
城門を内側から開けて、外で待っていた数千のスパルタ軍を招き入れます。
寝込みを数千の敵軍に襲われたトロイはひとたまりもありませんでした。
と、木馬をみた瞬間、カッサンドラにはこの全てがみえました。
「でもあの木馬、ナンダロネ?」「きっと、あれがスパルタ流のゴメンナサイ、マイリマシタなんじゃナーイ?」
「じゃああの木馬を都の広場に入れようよ。今夜はあの木馬を囲んでお祭りだワーイ!」
「駄目!あれは敵の計略なの!木馬を都にいれては駄目!」
「ヘーイ信じないぜカッサンドラの話なんてさチョリーッス」
カッサンドラの予知能力は二分後の未来なんてちゃちいものではなく、ずっと先まで見通せました。
でも「テスト」はできなかった。「シミュレーション」もできなかった。
今からつながる未来が淡々と見えてくるだけ。誰も信じてくれない自分だけの妄想として。
果たしてこのときのカッサンドラにはみえたのでしょうか?
その夜、スパルタの兵士たちにレイプされる自分の姿が。
やがて奴隷として売り飛ばされ、惨めに処刑される自分の死が。
とても美しく、太陽神アポロンに求愛されました。
カッサンドラはもともと恋愛体質ではなく、どちらかといえば男だの恋だのに興味のないタイプですが、
まあ相手は神様ですし、しぶしぶ応えることにしました。その代償だか、愛の証明だか、知りませんが、
アポロンに「私に特別な能力をください。予言の力がいいです」とお願いしました。
アポロン自身には予知能力がなかったんでしょうね。でもギリシャ神話では、ヒトは神がつくったものです。
ヒトにオプションつけることはできます。
アポロンは「オッケーオッケーまかせとき」と、あっさり彼女に予知能力プレゼント。バカバカ。
こんな、宝石や花束じゃなくて能力をほしがるような女子に、能力与えたらどうなるか、
予知能力がなくてもわかってくれよ。だからアンタかっこいいのにいつも振られるんだよ。
てかなんでいつも、こういう生娘タイプばっか惚れるんだよ。
カッサンドラは見てしまいました。
アポロンに身をゆだね、恋に落ちた後、ぼろくずのように捨てられる自分の未来を。
もともとアポロンを愛していたならともかく、このときのカッサンドラは恋を知りません。神官の娘ですし、処女です。子供です。
たとえ先がない恋でも、不幸になるとわかっていても、今はこの恋にすべてをかけたいの。
なあんて、不倫中のOLみたいなことは思いません。
アポロンの求愛をはねつけてしまいました。
以前のこの書庫の記事でも書いておりますが、ギリシャ神話の神々は気まぐれで残酷です。
裏切りはもっとも許しません。飼い犬にかまれるなんて屈辱です。この下等生物が!
一度つけてしまったオプションをはずすことはできませんが、怒りのアポロンはもう一個オプションをつけてしまうのです。
カッサンドラの予言は、誰も信じないようになれ!
やがてトロイとスパルタに大戦争が起きます。
ちなみにこの戦争の発端はパリスという若者ですが、このパリス、カッサンドラの兄です。
パリスは真面目でお堅い妹とは真逆の性格で、三人の女神から「権力」「知恵」「女」を提示された際に、
「女!」と元気に選び、この決断が戦争につながるのです。
パリスに与えられた絶世の美女。それはスパルタ王妃ヘレネでした。つまりパリスったら神の力を借りて、人妻略奪。
王妃奪還のため、スパルタ軍はトロイに攻め込みます。
10年に及ぶ長い戦争の末に、スパルタの知将オデュッセウスがひとつの知恵を出します。
それが有名なトロイの木馬。
大きな木馬をつくり、その中に兵士を数人だったか数百人だったか隠し、浜辺に放置。
翌朝、トロイの見張りの兵士は「あれ?昨日までたくさんいたスパルタの兵隊さんいなくなったよ。かわりに変な木馬が置いてあらあ」と、上官に報告。
上官は「きっと諦めたんだよ。この王都は鉄壁の城砦に守られているし、きっとスパルタに帰っちゃったんだよ」と、
ものすごく自分たちに都合のいい解釈をします。
「でもあの木馬、ナンダロネ?」「きっと、あれがスパルタ流のゴメンナサイ、マイリマシタなんじゃナーイ?」
「じゃああの木馬を都の広場に入れようよ。今夜はあの木馬を囲んでお祭りだワーイ!」
その夜、騒ぎ疲れてぐっすり眠りこけたトロイの街に、そーっと木馬からスパルタの兵士たちが降り立ちます。
城門を内側から開けて、外で待っていた数千のスパルタ軍を招き入れます。
寝込みを数千の敵軍に襲われたトロイはひとたまりもありませんでした。
と、木馬をみた瞬間、カッサンドラにはこの全てがみえました。
「でもあの木馬、ナンダロネ?」「きっと、あれがスパルタ流のゴメンナサイ、マイリマシタなんじゃナーイ?」
「じゃああの木馬を都の広場に入れようよ。今夜はあの木馬を囲んでお祭りだワーイ!」
「駄目!あれは敵の計略なの!木馬を都にいれては駄目!」
「ヘーイ信じないぜカッサンドラの話なんてさチョリーッス」
カッサンドラの予知能力は二分後の未来なんてちゃちいものではなく、ずっと先まで見通せました。
でも「テスト」はできなかった。「シミュレーション」もできなかった。
今からつながる未来が淡々と見えてくるだけ。誰も信じてくれない自分だけの妄想として。
果たしてこのときのカッサンドラにはみえたのでしょうか?
その夜、スパルタの兵士たちにレイプされる自分の姿が。
やがて奴隷として売り飛ばされ、惨めに処刑される自分の死が。
カッサンドラの能力に、少しでも「自分の決定次第で運命は変わる」が付加されていたなら、
どうしたと思いますか?
敗北するトロイから逃げ出す?レイプの現場のアテネの神殿には近づかないようにする?
それとも、アポロンの愛を受け入れ、あえて捨てられる?
どうしたと思いますか?
敗北するトロイから逃げ出す?レイプの現場のアテネの神殿には近づかないようにする?
それとも、アポロンの愛を受け入れ、あえて捨てられる?
そう、もし彼女が「例えいずれはポイ捨てされてもいい。あんなイケメンだしお金持ちなんだもの、私の処女をもらってもらおう!」と、
軽い決意ができていたなら、トロイの運命も変わっていたかもしれません。
軽い決意ができていたなら、トロイの運命も変わっていたかもしれません。
まったく、この兄妹ったら。
兄ちゃんはチャラ男で、妹は堅物で、ついには祖国を滅ぼしちゃったよ。
兄ちゃんはチャラ男で、妹は堅物で、ついには祖国を滅ぼしちゃったよ。
まあね、実際何が起きたのかって考えると、「お前の兄貴のせいだからな!」と妹が仕返しされただけだと思います。
カッサンドラは「私だってあんなチャラい兄貴、嫌いだったよ!やめなって言ったんだよ!」と文句言ったけど、誰も聞いてくれなかった。
カッサンドラは「私だってあんなチャラい兄貴、嫌いだったよ!やめなって言ったんだよ!」と文句言ったけど、誰も聞いてくれなかった。
仕方ないね。戦に負けたほうがお家断絶がお約束なのは、どこも同じです。復讐されたらたまりません。
ギリシャ神話でもカッサンドラ一家は全滅しています。
カッサンドラの弟たちは海神ポセイドンに殺されていることになっています。
ギリシャ神話でもカッサンドラ一家は全滅しています。
カッサンドラの弟たちは海神ポセイドンに殺されていることになっています。
ところで、パンドラの箱、ってご存知ですか?
開けちゃだめって言われてたのに開けちゃって、
あらゆる災厄が飛び出してきて、びっくりした美女パンドラが、その箱だか壷だかにあわてて蓋をします。
そしたら、出遅れて一人残ったのが「希望」ってあれです。
開けちゃだめって言われてたのに開けちゃって、
あらゆる災厄が飛び出してきて、びっくりした美女パンドラが、その箱だか壷だかにあわてて蓋をします。
そしたら、出遅れて一人残ったのが「希望」ってあれです。
だから、人類には希望が残されているってやつ。
この、出遅れた最後の一人は希望ではなくて「前兆」だったという説があります。
たくさんの災厄にビビったパンドラは、前兆を閉じ込めてしまった。だから、人類には前兆がない。
これから人生に起きるさまざまな不幸を知らないから、笑って今日を生きられる。
たくさんの災厄にビビったパンドラは、前兆を閉じ込めてしまった。だから、人類には前兆がない。
これから人生に起きるさまざまな不幸を知らないから、笑って今日を生きられる。
あら?
じゃあ結局良かったのか?パンドラ様ありがとう!なのかしら?
どう思いますか?未来がわかるほうがいいのか、わからないほうがいいのか。
もしくは、変えられる余地があるならわかるほうがいいのか。
もしくは、変えられる余地があるならわかるほうがいいのか。
ってゆーか、変えられる未来があるって、まあ普通の人生だよネ!
「自分の決定次第で運命は変わる」能力は、ナナ公にも皆さんにもあるし、
まあ二分後くらいなら、なんとなく予想できるかもだよね。
「自分の決定次第で運命は変わる」能力は、ナナ公にも皆さんにもあるし、
まあ二分後くらいなら、なんとなく予想できるかもだよね。
ナナ公のこの決定が果たして、どのくらいナナ公の運命を変えることができるか!
お楽しみに!
お楽しみに!