ナナ公の独り言

都内在住既婚会社員女の日記です

月光のアルテミス

名前は忘れちゃいましたが、ナントカっていう王子が、猟犬をお供に狩りの最中、
ふと森の奥にあったひらけた場所に迷い出ると、そこはきれいな泉でした。

そこではアルテミスと、お付きの侍女のニンフたちが水浴びしていました。

日本にも似たような昔話がありますね。天女の羽衣ってやつです。
日本の民話では、天女の水浴びを見た男は、羽衣を隠し、天女を妻としますが、
ここはギリシャ。アルテミスの反応は全く違います。

「キャーッのび太さんでていってー!」ではなく、
王子が一言も発する前に、鹿の姿に変身させてしまいました。
たちまち王子が連れていた猟犬がとびかかり、あっという間にずたずたに引き裂かれてしまいました。

っておい。訓練された猟犬が、獲物をずたずたにしちゃだめだろう。とかそういうツッコミをはじめとして、
もうツッコミどころ満載なのですが、仕方ないね。

という、アルテミスの処女性際立つエピソード1でした。
裸見たら殺す!・・・よく、少年漫画のヒロインが主人公の男子に言うセリフで、
たいていこの後、その子の裸をうっかり見てしまうことになり、
平手打ち(あるいは桶のお湯をかぶせられる)されることになる展開なわけですが、
アルテミスの場合、本気なんですね。裸見たら殺す!

ところでギリシャ神話ではメタモルフォーゼ系は、変身物語集として残されており、種類も結構ありますが、
おおむね、動物に変えられてしまうのは、罰です。おおむね、動物に変えられた後ひどい目にあいます。
また、植物に変える場合は大抵、死です。
悲劇の結末として、愛されていた側がその身を植物に変えることが多いです。
そして星。星座になる場合は、名誉です。星になる、とは日本では死の意味ですが、
ギリシャ神話では真逆、生きたまま、永遠の命を与えられるために、星になるのです。


さて、アルテミス、エピソード2です。

アルテミスは散歩中に、草原でうたた寝している羊飼いの男を見かけました。
実はこの男は王子で、その名はエンディミオン

パリスもそうですが、ギリシャ神話の羊飼いは実は王子であることが多いです。
第二子以降は、王位争いから遠ざけるため、羊飼いの家に養子に出されてることが多いです。
羊飼いね。まあ羊=庶民(奴隷)、みたいな暗喩なのかもしれません。

エンディミオンの整った寝顔を見ているうちに、なんとアルテミス、恋に落ちてしまいました。
全く、エロスの矢はどこから飛んできたものか。狩りの女神で弓の名手のアルテミスより凄腕です。
ゴルゴ13を背後から射殺するようなものです。

これがアフロディテなら、そっと起こして色仕掛けですよ。エンディミオンなんかひとたまりもないですよ。
でも知恵の女神処女神アテナに憧れるアルテミスとしてはそうはいきません。

エンディミオンが目覚めないようにしてしまうのです。
って殺したわけじゃありませんよ。

エンディミオンは永遠にこのまま眠り続けるのです。安らかな寝息ともに。
そして、月の光となってアルテミスは、毎晩エンディミオンの清らかな寝顔を照らし、愛でるのでした。

っておい。これまたツッコミどころ満載だろ。メタモルフォーゼすらなし。そのまま見守る。
って、まあわかんなくもないですよ。女子にはありがちな妄想だよね。
なんだろう、ジャニーズ?
ジャニーズを好きになることって、女子の一生に一度は出てくると思うんですよ。程度の差はあるにしても。
あ、それとも宝塚?少女漫画やアニメやゲームのあの彼?

現実の男子にはない魅力に満ち溢れた、イケメンたちですよ。

最近の草食男子とやらならご理解いただけるかもしれませんが、現実じゃないからいいんですよ。
ジャニーズったって、本当はその辺の普通の男ですけども、何が違うって、顔じゃないんですよ。
手が届かない雰囲気がいいんですよ。こちらのイメージを崩さないから素敵なんですよ。
漫画もアニメもゲームもね。

顔だけなら、ジャニーズより吉本の若手のほうがイケてる時も多いですが、
ジャニーズは、お笑いじゃないからいいんですよ。

はっきり言いますと、ボッキしなさそうでいいんですよ。チンチンなさそうで良いんですよ。
女子にはもともと本能で、男性恐怖が備わってるものですが、ジャニーズや二次元男子はそういうことしなさそうなとこに安心感があるのです。
まあね、もし○○くんと××しちゃったら・・・的妄想はしますよ。女子もバカだから。
でも、そのときの○○くんは自分の思い通りに動くんですよ。怖くない。例え襲われる妄想でも怖くない。


ま、そういうことです。このアルテミスのしたことって。

惚れた男の素顔なんて知りたくない。本性なんて見たくない。でも傍においておきたい。
自分だけのものにして、自由に愛したい。
でもセックスはしたくない、絶対に!自分の裸なんて見せたくない、絶対に!!


いやあ子供の頃、読んだときは、アルテミスのエピソードに何の違和感もなかったし、
奪うだの無理やりだの嫉妬するだの殺すだのと、醜い他の神様の恋愛スキャンダルの中で、
むしろ美しく思えましたが、今、きちんと整理すると、どうなのよコレ?ですね。

この書庫を丁寧に読んでくださっているらしい、ブログ友達のラスカルさんですが、
以前、お会いしたときこんなことを言ってましたよ。

ナナ公「V6の中なら誰が好き?」

いやもうこの質問から、いい年した大人の女じゃねえだろう?ですが、まあだらだらと中身のない幸せな会話してたわけです。
ケーキ食べながら。

ラスカル「本当は岡田君だけど、岡田君は高嶺の花だから、イノッチでいいよ」

いやいやアンタ、イノッチだって高嶺の花だよ。なんだよ、その岡田君は無理めだけどイノッチならいけるみたいな言い草は。

ラスカル「でもイノッチ、そんなに好きじゃないけど。隣の部屋に住んでるご近所さんとかがいいよ、イノッチ」

しかも、友達ですらないのかよ。ご近所さんかよ。ってアンタ、私はきまぐれに「V6なら誰がタイプ?」って聞いただけだよ。
いいじゃん、岡田君で。いいんだよ、どんな妄想しても。高嶺の花どころか半径5メートルに入る機会も一生ないよ。
逆に遠慮しなくていいんだよ。

このラスカルさんの会話から見える考え方に、処女性、といいますか、少女の一部が彼女に残ってることがわかります。
そう、処女性ではなく少女性です。
あまりにもカッコよすぎる男には、自分を認識されたくない。
しかしイノッチなら良い。でもお隣さんで。
ってところに彼女の大人の汚い部分も感じますね。まあそう。ナナ公もそうだよ。
男性にはキモイでしょうが、残念ながらアラフォーのおばさんにも、少女の部分がほんのり残っているのです。

改めて問いたい。
では、V6で、岡田君ほど近づきがたくなくて、イノッチほどどうでもよくなくて、
ほどよく、抱き合えそうな男は誰ですか?
・・・あの、難しかったらジャニーズ全体、いや芸能人全体でもよろしいですよ。


話を戻します。
わかりますか?アルテミスとエンディミオンは、ラスカルと岡田准一でもあるのです。
彼に見られることがないならば、自分の自由にしたい。支配したい。妄想したい。

ナナ公のエンディミオン佐藤健ですね。年齢的にね。本人にファンだと言うことすら、怖くてできません。
それに声とかあんまり好きじゃない。性格も合わないと思う。でも見た目はストライク。

ボッキされたら怖い処女性ではなく、ボッキされなかったら怖い少女性。
そろそろ熟女の階段か?くらいの女性なら誰でもあるでしょう。果たして熟女の階段を上りきったらそれもなくなるのでしょうか。
そこにはホンモノの自由がある気がします。堂々と佐藤健の握手会にいけるような。
ってそれは、もしや恥知らず・・・?



アルテミスのエンディミオンに対する想いはいろいろなものが詰まっています。
もちろん、自分を汚されたくない処女性。逆に汚してもらえない可能性を怖れる少女性。
男なんかに夢中になって・・・と、憧れのお姉さまアテナに見下されたくない女同士の見栄。

ただひとつその想いに入ってないのは、エンディミオンに対する情愛です。
彼を好きな気持ちは嘘ではないでしょうが、
彼の気持ちなんか知りたくない、いっそ彼の気持ちなんか存在してなくて良い、
彼の気持ちより自分の気持ち。

アルテミスは恋は知りましたが、愛を知らないままの女神です。残念。
まあ、それはとても月の女神らしいです。美しく儚げで、清らかで冷たい。


ちなみに、アルテミスにまつわる物語の言わんとするところは、
月の出ていない夜は、森や山には出かけないほうが良い、ということだと思います。
当たり前です。