ミノタウロスの誕生
あっ、心が弱いっていうのは、感情に鈍いって意味ですよ。
クレタ島のミノスは、王になりたかった。
彼は次期王の候補者として、名前が挙がっていましたが、決め手にかけていました。
そこで、ミノスは、海神ポセイドンに祈りを捧げます。
「私が王になりましたら、クレタはあなたを国の神として奉ります。立派な神殿を建てます」
そこで、ポセイドンは、ミノスに真っ白な子牛を与えます。
「その牛を、私からの贈り物として皆に見せるがよい。人々はお前こそが選ばれた者だとわかるだろう」
ミノスは大喜びして、牛を受け取り、
「では、この牛を立派に育てます。そして王になれた暁には、ポセイドン神殿に捧げます」
こうして、民の信頼を得たミノスは、クレタの王になります。
ところが、ミノス王は、あんまり立派に育った真っ白の雄牛をみて、惜しくなりました。
違う牛を生贄にしたのです。
むろん、ポセイドンが騙されるわけもありません。
「おのれ、ミノス。私を甘く見た罰は受けてもらうぞ」
さて、一方で、ミノス王の美しい妻、パシパエは、自分の美しさを鼻にかけていました。
「私ってきっと、愛と美の女神、アフロディーテ様より美しいわ。おほほ」
王妃パシパエが、そんな調子ですから、民も思います。
「うちの王妃様は、あのアフロディーテより美しいのさ。ははは」
アフロディーテの神殿も荒れ果てていきます。
ある日、ミノス王に対して怒りの収まらないポセイドンと、
パシパエが憎くてたまらないアフロディーテが、神々の集まる宮殿オリュンポスで顔をあわせました。
二人は共謀して、裁きを下したのです。
さあ、アフロディーテの息子、エロスがまた出番です。
エロスはいわゆる、キューピッド。
ナルキッソスに叶わぬ恋の矢を打ち込んで死に至らしめたのも、エロスがしたことです。
今回のエロスの標的は、美しき王妃、パシパエ。
パシパエは、エロスの恋の矢に射抜かれて、
なんとミノスがポセイドンから授かった真っ白な雄牛に激しい恋をしてしまうのです。
しかし、相手は所詮獣。美貌でセクシーなパシパエの誘惑にまったく動じません。
そりゃそうだ。
そこで、パシパエは、宮殿に仕える技師の一人、天才と誉れの高いダイダロスに相談します。
ダイダロスも仰天しましたが、王妃の頼みとあっては断れません。
牛のきぐるみをつくるのです。きぐるみ、といいますか、張子のようなものですが。
で、パシパエは天才作の見事な出来の牛のきぐるみを着て、牛舎に赴きます。
見事、雄牛とセックスに成功。
毎晩、牛舎を訪れて、牛との情事に狂います。
すげえ・・・!
やがて、パシパエは身ごもります。
ミノスともセックスしていましたから、生まれる寸前まで、パシパエは煩悶します。
しかし、残念ながら、生まれたのは、牛頭人間のミノタウロスでした。
頭は牛、尻に尻尾があって、手足は蹄だったそうです。
しかもミノタウロスは、侍女の手を食いちぎったりと人肉が大好物ときています。
もちろん、ミノス王は怒り心頭、パシパエもミノタウロスも殺すことにします。
しかし、そこにポセイドンが現れます。
「本当にミノタウロスは、雄牛の子かな?もしかするとお前の子かも知れぬ。子殺しは許さぬぞ」
しかたなく、ミノス王は、迷宮をつくり、そこにパシパエとミノタウロスを閉じ込めます。
ミノタウロスの主食は人間。
パシパエの運命は、王にもわかっていました。
さて、問題のパシパエと交わった雄牛は、ポセイドンの呪いで凶暴化していました。
討伐にむかわせたミノス王の息子の一人が、返り討ちにあいました。
その雄牛と息子の戦いの場所がアテネでした。
ミノス王は、息子に協力してくれなかったと、アテネを攻めました。
ちょっと八つ当たりっぽいですね。
結果として、アテネはその戦いに敗れ、
アイゲウス王はしかたなく男女7人ずつ14人の若者を生贄として、
毎年クレタに差し出せという、要求をのんでいたのです。
ふー。
やっとここまできました。
お待ちかね、テセウスの登場です。
テセウスは、アイゲウスの息子です。彼は、父王を苦悩から救うため、
自ら、ミノタウロスの生贄になることを志願するのです。
「見事、ミノタウロスを討ち取ってごらんにいれましょう」
彼は次期王の候補者として、名前が挙がっていましたが、決め手にかけていました。
そこで、ミノスは、海神ポセイドンに祈りを捧げます。
「私が王になりましたら、クレタはあなたを国の神として奉ります。立派な神殿を建てます」
そこで、ポセイドンは、ミノスに真っ白な子牛を与えます。
「その牛を、私からの贈り物として皆に見せるがよい。人々はお前こそが選ばれた者だとわかるだろう」
ミノスは大喜びして、牛を受け取り、
「では、この牛を立派に育てます。そして王になれた暁には、ポセイドン神殿に捧げます」
こうして、民の信頼を得たミノスは、クレタの王になります。
ところが、ミノス王は、あんまり立派に育った真っ白の雄牛をみて、惜しくなりました。
違う牛を生贄にしたのです。
むろん、ポセイドンが騙されるわけもありません。
「おのれ、ミノス。私を甘く見た罰は受けてもらうぞ」
さて、一方で、ミノス王の美しい妻、パシパエは、自分の美しさを鼻にかけていました。
「私ってきっと、愛と美の女神、アフロディーテ様より美しいわ。おほほ」
王妃パシパエが、そんな調子ですから、民も思います。
「うちの王妃様は、あのアフロディーテより美しいのさ。ははは」
アフロディーテの神殿も荒れ果てていきます。
ある日、ミノス王に対して怒りの収まらないポセイドンと、
パシパエが憎くてたまらないアフロディーテが、神々の集まる宮殿オリュンポスで顔をあわせました。
二人は共謀して、裁きを下したのです。
さあ、アフロディーテの息子、エロスがまた出番です。
エロスはいわゆる、キューピッド。
ナルキッソスに叶わぬ恋の矢を打ち込んで死に至らしめたのも、エロスがしたことです。
今回のエロスの標的は、美しき王妃、パシパエ。
パシパエは、エロスの恋の矢に射抜かれて、
なんとミノスがポセイドンから授かった真っ白な雄牛に激しい恋をしてしまうのです。
しかし、相手は所詮獣。美貌でセクシーなパシパエの誘惑にまったく動じません。
そりゃそうだ。
そこで、パシパエは、宮殿に仕える技師の一人、天才と誉れの高いダイダロスに相談します。
ダイダロスも仰天しましたが、王妃の頼みとあっては断れません。
牛のきぐるみをつくるのです。きぐるみ、といいますか、張子のようなものですが。
で、パシパエは天才作の見事な出来の牛のきぐるみを着て、牛舎に赴きます。
見事、雄牛とセックスに成功。
毎晩、牛舎を訪れて、牛との情事に狂います。
すげえ・・・!
やがて、パシパエは身ごもります。
ミノスともセックスしていましたから、生まれる寸前まで、パシパエは煩悶します。
しかし、残念ながら、生まれたのは、牛頭人間のミノタウロスでした。
頭は牛、尻に尻尾があって、手足は蹄だったそうです。
しかもミノタウロスは、侍女の手を食いちぎったりと人肉が大好物ときています。
もちろん、ミノス王は怒り心頭、パシパエもミノタウロスも殺すことにします。
しかし、そこにポセイドンが現れます。
「本当にミノタウロスは、雄牛の子かな?もしかするとお前の子かも知れぬ。子殺しは許さぬぞ」
しかたなく、ミノス王は、迷宮をつくり、そこにパシパエとミノタウロスを閉じ込めます。
ミノタウロスの主食は人間。
パシパエの運命は、王にもわかっていました。
さて、問題のパシパエと交わった雄牛は、ポセイドンの呪いで凶暴化していました。
討伐にむかわせたミノス王の息子の一人が、返り討ちにあいました。
その雄牛と息子の戦いの場所がアテネでした。
ミノス王は、息子に協力してくれなかったと、アテネを攻めました。
ちょっと八つ当たりっぽいですね。
結果として、アテネはその戦いに敗れ、
アイゲウス王はしかたなく男女7人ずつ14人の若者を生贄として、
毎年クレタに差し出せという、要求をのんでいたのです。
ふー。
やっとここまできました。
お待ちかね、テセウスの登場です。
テセウスは、アイゲウスの息子です。彼は、父王を苦悩から救うため、
自ら、ミノタウロスの生贄になることを志願するのです。
「見事、ミノタウロスを討ち取ってごらんにいれましょう」
ギリシャ神話を読むと、基本は、ヒトは神の娯楽なんだと思わせられるシーンがたくさん出てきます。