2005-06-28から1日間の記事一覧
殺す、という単語にぼくはどきっとして、二人の顔を見た。 教頭先生はとっくに帰っていて、部屋にはぼくと悟とお父さんの三人きりだった。いや、お母さんがいるから四人。小山家の家族だけだった。 悟は中学一年生だ。四つ上の兄貴だ。お父さんは、新聞社に…
1 お母さんが死んだこと ぼくのお母さんが死んだのは、ぼくが小学三年生の夏休みの直前で、たぶんぼくはそのとき、水の中にいたんじゃないかと思う。 教頭先生が、突然ぼくの教室に入ってきて、ぼくの名前を呼んだとき、ぼくのクラスは三時間目の学級会の最…